格安SIM(MVNO)は、大手キャリアである「ドコモ」「au」「ソフトバンク」から回線を間借りし、その回線を格安でユーザーに提供する仕組みです。どのキャリアから回線を借りているかによって「ドコモ系」「au系」「ソフトバンク系」に分けることができます。
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数少ないソフトバンク系の格安SIM
最も使われているのは「ドコモ系」の格安SIMです。LINEモバイルや楽天モバイルなどがドコモ系に当たります。次に多いのが「au系」で、UQモバイルやマイネオ(aプラン)はauの回線を利用しています。
残る「ソフトバンク系」ですが、実はソフトバンクの接続料が高く、ソフトバンク回線を利用する格安SIMが少ないのが現状です。しかし、ここにきていくつかのMVNOが参入してきています。そこで今回はソフトバンク系の格安SIM(MVNO)についてまとめてみました。
ソフトバンク系格安SIMのメリットとデメリットは?
ソフトバンクユーザーがSIMロック解除なしで利用できるのがメリット
ソフトバンク系格安SIMを使うメリットはどこにあるでしょうか。
一番のメリットは、ソフトバンクで購入したスマホをSIMロック解除せずに使うことができる点です。
SIMロックは、端末を購入してから半年(購入後181日)以上経過していないと解除できませんが、ソフトバンク端末であれば、すぐにソフトバンク系格安SIMを差し込んで使うことができます。つまり、ソフトバンクユーザーが格安SIMに乗り換えたい場合、ソフトバンク系格安SIMを使うのが手間的にもコスト的にも最短距離となります。
ソフトバンクはband8(LTE 900MHz)、いわゆる「プラチナバンド」に対応している唯一の大手キャリアです。このband8は、ヨーロッパや中南米、中国、韓国、台湾、香港、シンガポールなどで利用されています。ソフトバンクの端末はband8を掴むよう設計されているため、SIMロック解除すれば上記の国々で使うことも可能です。
他キャリア系と比較して料金が高い
一方デメリットは料金です。格安SIMからソフトバンクへの高い接続料は、利用料金にも反映されており、ドコモやau系の格安SIMと比較してやや高めの料金設定となっています。
機能やプランに制限があるケースが多い
また、ドコモ系やau系格安SIMと比べると、機能やプランの自由度で制限があります。
例えばデータ翌月繰越や高速通信切り替えができなかったり、データ通信SIMしかプランが選べなかったりします。利便性を左右する部分なので、ソフトバンク系格安SIM選びの際には十分気をつけたいポイントです。
ソフトバンク系格安SIMの一覧
b-mobile S
b-mobile Sは日本通信が提供する格安SIMです。ソフトバンク系の回線を利用した初の格安SIMで、2017年8月16日にデビューしました。
SIMは2種類あります。1つはデータ通信(SMSなし)のみ可能な「b-mobile S 開幕SIM」。料金プランはデータ容量1GB(880円)から30GB(4980円)までの4プランを用意しています。
もう1つは通話も可能な「b-mobile S スマホ電話SIM」です。これまではデータ通信SIMしか用意がなかったb-mobile Sですが、2017年8月にようやく音声通話SIMをリリースしました。料金プランはデータ容量1GB(2450円)から5GB(3850円)までの5プランを用意しています。
残念なのは動作対象がiPhoneとiPadのみ対応という点。Androidでも動作報告がされていますが、動作保証外となっています。テザリングにも対応していません。
○待望の音声通話SIMが登場
×動作対象はiPhoneとiPadのみ
×テザリング非対応
×開幕SIMはSMS機能が提供されていないLINEでの年齢認証不可能
公式サイト:b-mobile S
U-mobile S
U-mobile SはU-NEXTが運営する格安SIM(MVNO)です。現状、データ通信SIM(それもSMSなし)しか選べないため、データ通信専用に使うなど用途は限られます。音声通話を希望する場合はb-mobile Sの「スマホ通話SIM」を選ぶ必要があります。
実はU-mobile Sはb-mobile Sの回線を使っているため、容量、料金、機能ともにb-mobile Sと全く同一です。iPhoneとiPadのみの対応という点も同じですので、b-mobile SにするかU-mobile Sにするかは、好みに応じて選べば良いでしょう。
×SIMは1種類。SMSなしのデータ通信SIMのみ
×動作対象はiPhoneとiPadのみ
×テザリング非対応
公式サイト:U-mobile S
スマモバ
スマモバもU-mobile Sと同様にb-mobile Sの回線を利用した格安SIM(MVNO)です。本来はb-mobileと同じ料金プランになるはずですが、いずれのプランでも700〜1000円ほど高額です。
さらに、スマモバには24ヶ月の最低利用期間があることと、9800円の違約金が発生します。ちなみに、音声通話SIMの場合は違約金が発生するのが普通ですが、データ通信SIMで違約金が発生するMVNOは「スマモバ」くらいです。もちろん「b-mobile S」「U-mobile S」に縛りはありません。
機能や速度は「b-mobile S」「U-mobile S」と同じですので、どう考えてもスマモバを選ぶメリットはありません。
今回はソフトバンク回線を使った格安SIMということでスマモバを紹介してはいますが、当サイトはスマモバをあんまりおすすめしません。
「料金が高く縛りが発生する」という点も大きな理由ですが、消費者に契約条件の説明や退会処理が適切に行われていないと行政指導が入ったからです。
総務省は、スマートモバイルコミュニケーションズが運営するMVNOサービス「Smart Mobile Phone(スマモバ)」に対し、消費者保護ルールに違反した事象が確認されたとして、改善を求める行政指導を実施した
引用:ケータイwatch
ツイッターなどで検索をかけてみても、実際に不快な思いをされたユーザーの悪評がかなり目立ちます。他社との比較優位性もないMVNOなので、少なくとも現段階においてはスマモバを選ぶ理由は全くないといえます。
×b-mobile S回線ながらb-mobile Sより料金が高い
×12ヶ月縛り・違約金がある
×消費者保護に違反し行政指導処分を受けている
Hitスマホ
Hitスマホは飛騨高山ケーブルネットワークが提供する格安SIM(MVNO)です。格安SIMにしては珍しくデータ通信SIMを用意しておらず、音声通話SIMのみの提供となっています。
プランは1GB(1980円)、3GB(2380円)、10GB(3380円)の3タイプ。飛騨高山ケーブルネットワークの「Hit net TV!」加入者であればいずれのプランでも月々400円の割引が適用されます。この場合10GBで2980円となり、ソフトバンク系格安SIMの中ではリーズナブルな料金で利用できるのがメリットです。
ただし、最低利用期間が12ヶ月、解約料と解約手数料で12000円が発生する点がデメリット。「Hit net TV!」加入者でなければ無理に加入する必要はないでしょう。
×Hit net TV!加入者は400円/月の割引
×24ヶ月縛り・違約金がある
公式サイト:Hitスマホ
ANA Phone
ANA Phoneはその名の通りANAが運営する格安SIMです。最大のメリットは、月々の利用でANAのマイレージが貯まることでしょう。貯めたマイルは国内外の旅行に利用することができます。
一方、SIMカードのみの契約は受け付けておらず、スマホとのセット料金になるため、月額料金が高止まりすることがデメリットです。最安値プランである「スマ放題 2GB」でも月額6500円とキャリア並みの水準です。
端末も「Xperia XZ」と「AQUOS Xx3 mini」の2種類のみと選択肢が少なく、マイルが加算される点を差っ引いてもキャリアと契約したほうが良いのでは…と思えてしまいます
○ANAのマイレージが貯まる
×SIMカードのみの契約はできない
×月額利用料金が高い
公式サイト:ANA Phone